ITコンサルになって4年経ちました - 近況報告
結局前回からほとんど更新できず4年経ちましたが、未だにドイツ系外資のIT企業でITコンサルをしています。この4年の間、一時期激務の中転職活動したり、結局今のところに留まったり、婚約したりといろいろありました。
仕事
相変わらずERPアプリケーションの導入コンサルをしています。主に財務会計周りなのも変わりません。今までシニアコンサルのサポートの形で業務していたのが、少しずつ自分の手で提案するようになった感じです。ちなみに2020年3月からフルリモートで仕事しています。仕事の片手間にお料理したり筋トレできるので、快適ですね。
また、自分の興味の方向性も少しわかってきました。一時期関わったパフォーマンスチューニングのお仕事が思ったよりも楽しかったのもあり、やはりコーディング周りで自分の強みを活かしたいと思っています。
今後の方向性
仕事のセクションで書いたとおり、自分の興味は業務そのものよりもITの知識で勝負したいと思ってきました。そのため、今年10月よりData Scienceの修士課程が取れるオンラインの講義を受講しています。
この課程は米国大学院の修士課程ではほぼ必ず要求されるGREやTranscriptの提出が必要なく、私のようにITのBackgroundを全く持たない人がなんとかしてIT系の修士課程を取る上でぴったりだと思っています。
実際に初期に受ける3講義のうちの一つ"Algorithms of Searching, Sorting and Indexing"を受講しました。授業はすべてCourseraベースで進められるので、自分のペースで学習できます。
残り2講義も受けたいと思っていましたが、難易度の高いものになると授業についてくのがやっとなので、今の仕事が山場を迎えた後に再開したいと思っています。
自分にとってこの課程の問題は「Master of Data Science」であることです。もう少しComputer Scienceの基礎の部分、特にポインタやヒープメモリなどのようなCS課程なら必ず触る部分も学んでいきたいと思っているのですが、どうもこの課程だと触れないように思えます。 この修士課程で自分の求めるものが得られるかは、もう少し考えないといけないですね。
プライベート
冒頭でも書いたとおり、婚約をしました。それでも結婚してからが本番なので、お互い気を使いながら楽しく過ごせたらなと思います。 婚約者は医療従事者で、ひどいときは8時出社22時帰宅のような激しい環境なので、お部屋のお掃除や料理は主に私が担当です。
駄文失礼しました。これからもできる限り更新を続けたいと思っています。
ちゃんと会社行ってます & 営業の人達と話して考えたこと
現在の会社に入社してはや三週間が経ちました。どこの会社もそうだと思いますが、最初は会社への順応と専門書から知識吸収するので殆ど終わってしまいますね。
このブログは学んだことをまとめたり簡単に噛み砕く練習として使おうと思ってましたが、正直分かりやすい素材なんていくらでもあるんだなと思いました。最早ただの新卒奮闘記になってしまいそうです。
昨週はじめて営業の人達と飲んだのですが、彼らとのコミュニケーション方法は自分のそれと大きな違いがあると感じました。
ぼくは聞かれた質問の意味をねちねち聞くタイプです。「XXがいいかどうか」という質問が来たら「良い悪いって何を基準に考えるの?」みたいな。質問の曖昧な部分をクリアにしてから「これは明らかだろうなー」と思う意見と理由をボソッと言う感じ。
一方で営業の同期の質問に対する返答は「意見+理由」のセットが1秒未満の反応スピードで飛び交う感じです。ほぼ条件反射。
一見、前者のほうが考えているように見えますが、むしろ「普段から考えていない」から聞かれて始めてうーん...となってしまう。そして会話も冗長になる。
営業同士がディスカッションしていると、会話のキャッチボールが素早いですね。バトミントンの試合を見ているようなイメージです。そして短期決戦で結論まで収束する。
この飲み会終わった後、昔読んだ以下の記事を思い出しました。※1
論理には二種類あり、
「先に結論があって、それに論理を結びつける」ものと「前提条件を確認した上で論理を組む」もの。
このことを、彼らとの会話を通して強く意識したことになるのかなと思います。大学院で2年半ほど研究室にこもってると、後者の人間しかいないものですから...
将来営業のキャリアも十分眼中に入れてるので、彼らから盗めるものはとことん盗んでいけたらいいなと思ってます。
上記所感に対して「なにを今更」みたいなことを思う人もいるでしょう。
それでも自分の手で明文化して、一連の文章にすることで初めて血や肉になるものもきっとあると思ってます。
当たり前っぽいことを書くにも、文章にするのって意外に難しいんですよ。小学校から作文大嫌いなタイプだったから尚更そうです。
次回からは書評みたいなものが書けるといいなと思います。というかこれから書評がメインになるかもしれない。
※1...記事の内容にはほぼ賛成です。ただ2つの考えのアプローチに「理系」「文系」という言葉はあまり使いたくないなあと思ってます。いわゆる文系にも、前提確認しっかりやって無茶苦茶ロジカル思考の人いますもんね。
ソフトウェアの会社に就職しました
以前から半年以上もの年月を空けて更新しました、くりりんです。
2017年5月にドイツから帰国し、無事9月に大学院修了を迎え、
現在は独系IT企業の日本法人で新卒研修を行っているところです。
自分が普段関わるコミュニティには大学からITを専門とする(これも漠然とした言い方で怒られそう...)人が多いのもあり、時たま「専門外を学ぶのは大変だよ」と社内外から脅されます。
それに対して「よゆーです」と胸を張るのも「が、がんばります。。」と畏まるのも、それぞれなんか違うような気がして、
「とりあえず無心で勉強します」と応答するのが現在の最適解だと思ってます。
特にぼくの場合は業務ソフトウェアの会社なので、ソフトウェアだけ分かってても会社からすれば使い物になりません。同時に業務の勉強(ぼくは会計)も必須事項です。勉強しなきゃいけないのはCS課程(Computer Science)持ちもNon-CS課程もちも一緒だし。
おそらく3−4年はここでねばることになるかなー。できれば5年ぐらいで他の世界も見たいところです。
多分知識の整理のために、週1ぐらいで更新できればいいなと思います。
できるかなー(笑)
くりりん
構造解析-2
前回の記事では、構造解析で何が分かるのかを中心に書きました。
そこで今回は、構造解析として主に使われている方法を述べます。
構造解析では主にX線回折を用いることが多いです。結晶学の歴史を遡ると、1914年、マックス・フォン・ラウエはX線を結晶に当てることで次の2つのことを発見しました。
1.試料を通過するX線の他に、ある特定の方向へ散乱するX線があること
2.X線が散乱される方向が結晶によって異なること
そもそも結晶構造が分かっていなかった状態で、X線の散乱方向が結晶によってことなることをどのようにして分かったのかは不明ですが…
出典:IUCr発行PDF http://www.iycr2014.org/__data/assets/pdf_file/0004/98590/220914_Japanese-rev.pdf
後に散乱方向や散乱強度が定式化されます。すると今度は散乱された方向と強度から逆算して元の構造を求める試みがなされます。これがX線散乱を元にした構造解析です。
現在どのように行われているかというと、無機材料であれば0.001~0.01mm立方の結晶をピンの先に付け、単一の波長のX線を当てて散乱像を検出器に記録します。有機物であればもっと大きな結晶を使ったかと思います。
この散乱像だけで各原子の位置や割合が求まります。そもそもどの原子がいるのかについては別の手段で既に分かっていることが多いので、この段階であまり議論にはなりません。
なお、この散乱(回折)については東北大学の高村仁先生による資料が非常に分かりやすいので是非。
http://ceram.material.tohoku.ac.jp/~takamura/class/crystal/crystal.html
次の記事では、X線が散乱する方向や位置がどのように決まるのかを含めて数式を含めた説明ができればと思います。
構造解析-1
無機材料学には、材料が原子レベルでどうなっているのかを解明し、その理由を考察する分野がある。
構造解析とも呼ぶし、一般化して「結晶学」と呼ぶこともある。
「結晶」と聞くと、一般ではダイヤモンドやルビーの結晶を思い浮かべると思う。基本的にそれで間違いはない。
しかし、それが例えば橋に使われる鉄鋼や半導体にも当てはまると聞けば、混乱する人もいると思われる。
実はこれらも結晶で構成されており「多結晶」の部類に入る。より細かく説明しようとすると別の領域に踏み込んでしまうため、ここで説明をとめる。
それでは構造解析は、何をすることだろうか。
1個のダイヤモンドがあれば、その1個の中にある原子全ての位置を決めるのだろうか。
いや、答えは、以下のように原子の位置を特定することだ。
(泉富士夫様作, 原子3D表示ソフトウェアVESTAで作成)
「これだけで充分なの??」と思う人もいるかもしれない。
上記は金や銅の単体が取ることで有名な面心立方構造であるが、実際の材料にはこれが縦横斜めに無尽蔵に並んで出来ているわけだ。
すなわち同じものの繰り返しなので、その「同じもの」さえ特定してしまえばお仕事終わりということだ。
それでは、構造が特定されるとはどういうことか。それは「どの元素」が「どの位置」に「どれぐらいの割合」存在するかを実験や計算で決めることだ。
「どの元素」...金か銀か銅か、それらがいくつあるのか
「どの位置」...ある原子を原点とすると、他の元素はどの方向に存在するのか。
「どれぐらいの割合」...どの部分を切り取っても元素が必ずその位置に存在するのか、それとも一部が欠陥によってなくなっていたりするのか。
そのうち「どの元素」、すなわち材料がどんな元素で構成されているかを特定する方法は別に構造解析でなくても簡易な方法がある。基本的にはこの「どの元素」という部分は予め決めておいて、後半の「どの位置」「どの割合」の部分に時間を充てることが多い。
それでは、実際に各元素の位置がどこにあるのかを特定する方法は次回の記事に記す。